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宝成食品株式会社
2026.09.18

他にはない発想と行動力で、八戸から新しいおいしさを。

どんな要望にも「できない」と言わない会社。

イカやサバをはじめ、多彩な魚介が集まる港町・青森県八戸市で、カニを中心とした水産物の卸売や加工、商品開発を手掛けているのが宝成食品です。同社が創業したのは2009年。代表取締役の河村隆衛さんが26歳の時でした。

「大学卒業後、地元の大手水産加工会社に入社しました。その中で『もっと取引先や消費者に近い場所で、求められる声に柔軟に応えたい』と感じるようになりました。そこで独立し、得意としていたカニの商品を中心に、全国の市場などへ販売していたんです」。

しかし、創業から2年後の2011年、東日本大震災が発生。製造を依頼していた陸前高田市と気仙沼市の工場が津波で被災し、商品をつくれない状況に陥ります。

「当時は自社工場を持っておらず、委託先の復旧を待っている時間はありませんでした。『だったら、自分たちでつくるしかない』と。その時から、本格的にメーカーとして歩き始めました」。

そうして同社は、八戸市内にあった廃業予定の水産加工場を借り、自社製造の道へ。工場内に入り込んだ土砂を撤去し、清掃や設備の準備を進め、震災から1カ月もたたないうちに製造を始められる体制を整えました。

自社加工へ転換したことで、取引先から寄せられる細かな要望にも、より柔軟に応えられるようになりました。例えば、カニの殻をむいて食べやすい状態にした商品や、量販店が解凍してそのまま店頭に並べられる盛り付け済みの商品。手間がかかり、大量生産には向かない仕事や高度な要求にも積極的に取り組みました。

「私たちは後発の会社です。大手と同じことをしていても、価格や知名度ではかないません。だからこそ、非常に手間の掛かる仕事や、高い要望に応えることが、うちの価値になると思っています。取引先からの相談に『できません』と返すことはありません」。

すぐに断るのではなく、まずは実現する方法を考える。その積み重ねが信頼につながり、現在では河村さんに全国の食品バイヤーや加工業者から相談が寄せられるようになっています。

動き続けることで、新しい価値を生み出す。

「私はマグロなので、常に動き続けていないとダメなんですよ!」と笑う河村さんは、その溢れるバイタリティをさまざまな活動に繋げています。。

その一つが、全国の展示会への参加。水産関係はもちろん、畜産や食品、テクノロジーなど、異なる業界の展示会にも自ら足を運びます。

「その場に行かなければ得られない情報がありますし、ヒントが隠れていることもあります。何より、新しいお客さまと出会えることが大きいですね」。展示会への継続的な出展により、2025年の1年間だけで約30社の新たな取引先を獲得できたといいます。

また、近年はこれまで以上に商品づくりに力を入れているという河村さん。その柔軟な発想を象徴する商品の一つが、「器ごと食べるシリーズ」。開発のきっかけは、輸入価格の高騰や不漁などにより、カニの甲羅が思うように手に入らなくなったことでした。

「それなら、器も自分たちでつくってしまおうと、アイスクリームのコーンをヒントにしました」。

そして誕生したのが、カニのすり身や伊勢エビペーストなどを練り込み、本物の甲羅そっくりに焼き上げた「食べられる器」。グラタンを入れて焼いても形が崩れず、器まで味わえる商品として話題を集め、現在はホタテ型の器を使ったグラタンも人気です。

さらに、2026年8月には、河村さんの自信作「ほたてですよ!」が発売予定です。主役となるのは、ホタテの卵とヒモ。甘じょっぱい味付けの佃煮は、ご飯のお供にぴったりの一品です。

「ホタテの卵とヒモは東北では食べる文化がありますが、地域によっては見た目が敬遠され、加工の段階で廃棄されてしまうことも少なくありません。以前から『もったいない』と思って商品化を考えていましたが、そのまま展示会に持って行っても『見た目が苦手』という反応が多かったんです。『それなら形が分からなくなるまで加工してしまえば』と考えて、青森県内のホタテ屋さんに頼んで一緒に作りました」。

こうした前例のない商品づくりに挑む背景には、河村さんが抱く、水産業への想いがあります。

「水産業は大変な仕事というイメージがあり、働き手も減っています。でも、付加価値のある商品をつくって会社がしっかり利益を出せるようになれば、働く人の待遇も良くなり、業界全体の発展に繋がるはずです」。

そして、そのためには、それぞれの得意分野を持つ企業が力を合わせることが欠かせないと河村さんは考えています。宝成食品でも、原料の下処理など専門性の高い工程は協力会社に委ね、自社では付加価値を高める商品づくりに力を注いでいます。

「他社がやっていないものを、スピード感を持って形にしていきたいですね。アイデアはまだまだありますよ!」

既存の枠にとらわれず、新たな価値を生み出し続ける。その挑戦は、自社の成長だけでなく、八戸の水産業の未来にも新たな可能性を広げています。

COMPANY INFO 今回のつくり手さんの会社

宝成食品株式会社

住所
〒031-0811
青森県八戸市新湊1-13-4
取扱製品
カニの甲羅盛り、ズワイガニのほぐし身、海鮮ばくだん ほか